心のこと…

「医科心理学」の知識を遊ぶ

「心」の解剖・生理学への第一歩、細胞。

  話は打って変わって私たちの「心」の解剖・生理学に入ります。 私たちの「心」のありかは基本的には中枢神経系(主には脳)にあると考えられているわけですが、その中枢神経系をつくる構成要素として「神経細胞ニューロン neuron」があります。

f:id:Lemontarou:20170702154319j:plain

  かなり変わった形をしていますが、それ以外の普通の細胞と同じ基本的な性質も持っています。

  まずは普通の細胞の基本的な構造を見てみます。

 

f:id:Lemontarou:20170702154126j:plain

  細胞は、細胞膜という脂質の二重膜で覆われています。脂質はイオンを通しませんから、イオンを通す特殊なチャンネルが開いていなければ、イオンが行き来することもありません。

  そして、この細胞膜にはいくつものタンパク質が埋め込まれているのですが、そのうちの一つに「Na+/K+ポンプ」と呼ばれるものがあります。

f:id:Lemontarou:20170702154143j:plain

  これは「イオンポンプ」の名の通り、細胞レベルでのエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)を消費して細胞外にNa+を3つかき出し、細胞内にK+を2つ取り入れます。 細胞が生きているかぎり、このポンプは作動し続けていますから、これによって細胞内と細胞外には電位差ができることになります。

  ところが、この性質は神経細胞や筋肉細胞に見られるものですが、細胞が「興奮」することがあります。 どういうことが起こっているかというと、細胞膜に埋め込まれているタンパク質の一つであるNa+やK+を選択的に通過させることができる「イオンチャンネル」のゲートが開いたり閉まったりすることがあるのです。

 

f:id:Lemontarou:20170702155135j:plain

  ゲートが開けば、そのチャンネルが通過させることのでくるイオンが細胞膜を行き来することができますから、Na+もK+も膜を隔てての濃度勾配に従って行き来するようになります。 これによって、先ほどまで「Na+/K+ポンプ」で作られていた細胞膜内外の電位差が変化することになります。 この電気的な変化を「興奮」と呼んでいるのです。

  さて、神経細胞や筋肉細胞の細胞膜にあるこれらの「イオンチャンネル」のゲートは、細胞膜内外の電位差の変化によって開いたり閉じたりします。 このため、興奮した場所のゲートが開くとイオンの出入りによって電位差が変化しますから、その隣の場所のゲートも開いてしまい、結果として「興奮」はどんどん広がって行くことになります。 これが「興奮の伝搬 propagation」になるわけです。

 

 

参考書

Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13e (Guyton Physiology)   Saunders (2015/6/3)  

Raven Biology  McGraw-Hill Education(2016/1/11)