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こぼれ話;男はやっぱりボンッキュッボンが好き

  これまでの配偶者選択の話は、基本的に女性が男性を選ぶ話ばかりでした。 それもそのはず、配偶者選択においては生き物的に「親投資 parent investment」が大きくならざるを得ない女性の方が圧倒的に厳しい目で配偶者を選ぼうとするからです。

 

  とはいえ、男性はまるっきり選ぼうとしない、ということもないのです。

 

  では、男性はどんな基準で女性を選ぶのか? よく知られたところでは、いわゆるボンッキュッボンのナイスバディをした女性が好きだ、というものがあります。 つまり、胸がボンと大きくとびだしていて、腰がキュッとくびれていて、お尻から太ももが大きく張り出している、という身体的特徴です。

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  実際に、多くの男性を集めて女性の身体つきから性的魅力を評価してもらうと、BMI(太り具合、痩せ具合の指標)が20くらい、つまり太ってもいないし、痩せてもいない、普通の体型であり、なおかつボンッキュッボンという体型をしているのを「性的に魅力的だ」と感じることが、幾つもの調査・研究で繰り返し示されています。

(太り具合、痩せ具合をBMIで表現するとだいたお20くらい。腰のくびれ度をWHR=ウェスト/ヒップ比で表現するとだいたい0.70くらい、つまり太りすぎず、痩せすぎず、健康的に腰がくびれている女性を多くの男性は好む、という結果になります。)

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  いったいなぜなのか?

 

  ここにもちゃんと理由があります。 例によって進化論の話ですから、男性たちは何か意識的な理由にもとづいてこうしたナイスバディな女性を好むのではないのです。 たまたま遺伝子的に、そういう好みを行動パターンとして生まれ持ってきた男性たちが、結果的に多くの子孫を残し、その遺伝子がメインストリームになった、というだけなのです。 そして、その理由とは、ボンッキュッボンのナイスバディな女性たちは、そうでない女性たちに比較して、女性ホルモンがむんむんで、それゆえ心身ともに健康であり、妊娠しやすく、しかも頭の良い子どもを産む可能性が高い、ということのようなのです。

 

  なんじゃ、そりゃ。 本当かいな…と思ってしまいます。

 

  でも、どうやら本当なのです。 試しにボンッキュッボンのナイスバディをしている女性たちと、そうでもない女性たちを集めて唾液中の女性ホルモンのレベルを測定してみます。 すると、確かにボンッキュッボンのナイスバディな女性たちの方が女性ホルモンが高い傾向があることがわかります。

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  これをもとに計算すると、実に3倍くらいの確率でボンッキュッボンの女性たちの方が妊娠しやすいことになるのです。 そりゃ、そういう女性を好きな男性が子孫を増やすわけです。

 

  さらに、女性の皮下脂肪には子どもがお腹の中にいるときに脳をつくるのに大切な脂肪が蓄積されていること、特にお尻から太ももにかけてメインに蓄積されていることが知られています。 ということは、腰はキュッとくびれているのに、お尻から太ももはしっかりと太っている女性というのは、脳の発達の良い、頭の良い子を産むのではないか? などという嘘くさい説を確認してみると…。

  本当でした。 確かに腰がキュッとくびれているのにお尻が大きい女性たち(WHRが小さい女性たち)は、そうでない女性たちよりも頭の良い子を産む傾向があったのです。

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  ついでに、女性たち自身も頭の良い傾向がありました。

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  なんとね。 「カラダが良い」だけじゃなかったのですね。

 

 

参考書

 Krzysztof Koscinski.  Assessment of Waist-to-Hip Ratio Attractiveness in Women: AnAnthropometric Analysis of Digital Silhouettes.  Arch Sex Behav(2014) 43:989–997.

 

Jasienska G, et al.  Large breasts and narrow waists indicate high reproductive potential in women.  Proc. R. Soc. Lond. B (2004) 271, 1213–1217.

 

Lassek WD & Gaulin SJC.  Waist-hip ratio and cognitive ability: is gluteofemoral fat a privileged store of neurodevelopmental resources?  Evolution and Human Behavior 29 (2008) 26–34.