心のこと…

「医科心理学」の知識を遊ぶ

こぼれ話;ペニスの大きさは男性の性的魅力とは無関係?

  世の中に、これほど馬鹿馬鹿しく、しかしこれほど未解決な問題もそうそうないでしょう。 女性にとって(性的対象としての)男性の魅力にペニスの大きさは無関係かどうか?

 

  実際、学問的な調査・研究はさんざん行われていますが、なかなか決着がつかないのです。 まず、女性たちを対象にした普通のアンケート調査の結果は、「ペニスの大きさなんて関係ない」という結果が出ることが多いのですが、ことこういったデリケートな分野では意識的な回答を求めるアンケート方式はほとんど信用できないことがわかっています。 人は「社会的に好ましい」回答しかしようとしないからです。

 

    そこでMautz先生たちは、コンピュータで作成した3Dの男性モデルを等身大になるようにプロジェクターで映し出し、男性モデルの「身長」「肩幅」(この2つは男性の性的魅力に大きく関係していることがすでにわかっています)、そして「ペニスの大きさ(勃起時ではなく平時のもの)」を変えて、女性たちにその「性的魅力」を採点してもらうことにしました。

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  その結果、意外といえば意外なことに、女性たちはやはり微妙に大きいペニスを好む傾向があること、それは身長の高い男性に対してより顕著に見られること、が示されたのでした。しかも、対象者がガイジンということを考えても、(勃起時ではなく)平時のペニスの大きさ(長さ)が13cmよりもさらに大きい方がより魅力的だとなるような曲線を描いているじゃないですか。 これは平均+2SD以上の大きさで、ちょっと大きいものを求めすぎでしょう。

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(とはいえ、この「ペニスの大きさ」というパラメータが「性的魅力」に寄与する率は、「肩幅」に比べると全然少ないことも示されています。 まあ、普段は見えない場所ですしね。)

  つまり、身長の小さい男性は、もうそれだけで性的魅力が乏しいとされ、もうそれだけでペニスが大きかろうが小さかろうが、あまり関係なくなってしまうのです。 それに対して、身長の大きい男性は、そのうえさらにペニスが大きいとより魅力的に映る(逆に言うと、身長は大きいのにペニスが小さいと、その落差のがっかり感がかなり大きい)…ということだったのです。

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  だから何だっていうのだ!? と言われちゃいそうです。

 

  ですが、これは進化論的に見るとなかなか面白いことではあります。 つまり、私たち人類の祖先は、道具を使ったり衣服を着るようになる随分前から二足歩行をしており、お腹も、下腹部も、男性のペニスも正面から丸見えの状態で歩いていたはずです。 これが性的なシグナルにならないわけがないだろう、と予測されます。 ということは、シオマネキ蟹のオスのハサミが無駄に大きくなったように、人類の祖先の猿人間たちのオスのペニスも無駄に大きくなったのかもしれない、と思えてきます。

  以前に、「女性による密かな配偶者選択」への対抗策として、男性はペニスを大きくし、先っぽを太くし、セックスの時間を必要以上に長くすることで「かき出しポンプ」の能力を高めたのだろう、そのために人類の男性のペニスは無駄に大きくなったのかもしれない、という議論をしました。 それだけではなかったのかもしれない、という話です。

 

  そして、性的魅力にペニスの大きさが実際に関係してしまうという事実があるからこそ(せっかくイケメンで背も高いのに、脱いだら残念でした、と女性に思われるのはショックでしょうから)、男性たちはこんなにもペニスの大きさを不安になって気にしてしまうのでしょう。遺伝子の生き残りがかかっているのだから、まあまあもっともです。 (とはいえ、性的魅力への寄与率からいえば、肩幅の方がずっと大切なんですけどね…。)

 

 

 

参考書

Mautz BS, et al.  Penis size interacts with body shape and height to influence male attractiveness.  PNAS | April 23, 2013 | vol. 110 | no. 17 | 6925–6930.