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心のこと…

「医科心理学」の知識を遊ぶ

アダムとイブの争い 2

  生き物が自分の持つ時間とエネルギーを、自分の身体を維持・成長させるためではなく、自分の次の世代(子ども)をつくり育てることに振り向けること。これを「親投資 parent investment」と言うのでした。 そして、当然といえは当然、この「親投資」には大きな男女差があり、女性の方が男性よりも「親投資」に費やす時間とエネルギーがはるかに大きくなる、という生まれながらの男女差別があることをお話ししました。

 

  子づくり・子育てに費やす時間とエネルギーは、男性の場合それこそ一瞬で終わってしまうことも可能ですが、女性の場合は何年も費やすことになる命がけの一大事業なのです。

 

  このため、当然といえば当然のように、配偶者選択 mate choiceにおいて、男性が女性を選ぶことよりも、女性が男性を選ぶことの方がはるかに真剣で戦略的なものになります。女性は非常に多方面から男性の配偶者(自分の遺伝子をかけあわせる相手)としての好ましさを評価し、非常に戦略的に自分と自分の遺伝子が生き残り繁栄していく方法を選択していきます。

(もちろん、女性たちはみんなが意識的にそうしているわけではありません。進化論的に獲得してきた本能的・生得的な、そして大部分は無意識的な「知恵」によって、そのように行動するだけなのです。)

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  これまでの科学的研究の結果としてわかっているだけでも、女性が男性を選ぶときには、以下のようないくつもの査定項目があります;

 

(1)生き物として健康であり、感染症に強く、ちょっとやそっとでは病気になったり死んだりしない男性であること。

(2)男性ホルモンむんむんで、男らしい身体つきをしており、左右対称の美しい身体つきをしており、顔もイケメンであること。

(3)知力、体力、精神力ともに優れており、人気者で仕事もできる男性であること。

(4)社会的地位が高く、お金持ちであること。

(5)誠実で子ども好きで優しい人であること。

(6)自分とどこか似たようなところがあること。

(7)それでいながら、遺伝子的には近縁ではないこと。(特に主要組織適合性抗原MHC=ヒト白血球抗原HLAが遠く離れていること。)

 

…多すぎです。ですが、(1)〜(5)は女性とその遺伝子を引き継ぐ子どもたちが生き残り繁栄していくうえで、非常に大切な項目です。(なぜ「美しい身体をしているイケメン」が遺伝子の生き残りに好都合なのか? という問題は、もう少し後でお話しします。)

(6)は類別交配 assortative matingの原則として有名で、要するに進化が一定の方向性に進んでいくための必須事項のようなものです。ただ、当然近親者は「自分と似ている」わけですが、あまり遺伝子的に近縁であると、遺伝子の変異による病気が増えますし、集団全体が特定の感染症に弱くなって、下手をすると一族全滅なんてことになるとまずいので、(7)の項目が加わるわけです。

 

  ちなみに、男性が女性を選ぶポイントとしては、これまでに科学的にわかっていることとして、

 

(1)女性ホルモンむんむんのかわいらしくセクシーな顔をしており、胸が大きく腰がくびれお尻が大きい(いわゆるボンッキュッボン)セクシーな身体つきをしていること。

(2)若いこと。

 

…(3)以下ほとんどありません。もうこれだけでも、すごい男女差です。

 

  いったいこれは何なのか? こうした査定基準にどういう意味があるのか? こんな厳しい査定基準をパスできる男性なんて、そんなに存在しているものなのか? 女性たちはどういう戦略で自分の遺伝子を残そうとしていくのか?

  …そうしたことを、この後でそれぞれ少し詳しく見ていきます。

 

 

参考書

Dunbar R, Barret L, Lynette J.  Evolutionary Psychology.