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心のこと…

「医科心理学」の知識を遊ぶ

アダムとイブの戦い3

 その頃、日本では…

 

  全人類共通の父「アフリカのアダム」が地上に降り立ったのが約5万年前。それからしばらくして、私たち人類の先祖たちは、人類発祥の地・アフリカを出て全世界に増えながら散らばっていきました。

 

  その第一波が、アフリカの真ん中→アラビア半島→インド→インドネシア→東南アジアやオセアニア…といった海沿いルートをたどる「ナギサ人」でした。

  それから少し遅れて、アフリカの真ん中 →中東→ユーラシア大陸の内陸ルートを進む「ナイリク人」が、アフリカを出たのでした。

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  日本を含む世界各地に暮らす現代人の遺伝子を解析してわかってきた日本人のルーツは、おそらくこの「ナギサ人」と「ナイリク人」の混血だろう、ということです。

 

  まずはじめに、(インド半島でそうであったように)海沿いルートを進む「ナギサ人」がアフリカ→アラビア半島インド半島→東南アジア→日本…とやってきたのです。

 

  おそらく、こうした南の方から日本にやってきた「ナギサ人」の末裔たちは、北方からやってきた「ナイリク人」の末裔と、この日本という島国で出会い、なかなか仲良くやって混血し、日本の先住民族・「縄文人」になったと思われます。(ここで、縄文人にはおそらく「ナギサ人」の遺伝子が入っていたであろうことに注目してください。日本と同じような孤島であるインドのアンダマン諸島陸の孤島であるチベットには、日本人と同じY染色体の遺伝子、「ナギサ人」の遺伝子を持った人たちが今も暮らしています。アジアでもそれ以外の土地は、その後にやってきた「ナイリク人」たちによって、「ナギサ人」の遺伝子はほぼ消滅してしまったのでした。)

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  基本的には狩猟採取民族であった縄文人は、(その「未開」性のために)それほど爆発的に増えることなく日本で平和に暮らしていたのでしょう。

 

  ずいぶん時代が経って、朝鮮半島から「弥生人」の祖先が流入してきました。

  いったい、どうなってしまうのか?例によって、平和に暮らしていた「縄文人」は好戦的で高度な文明を持つ「ナイリク人」の末裔である朝鮮半島人(=弥生人)によって皆殺しにされてしまうのか?

 

  結果は、意外に平和的にいったようです。 というのも、現代に生きる日本人の男性の遺伝子には、「ナギサ人」の男性の遺伝子が少しだけのこされているからです。「男は皆殺し、女は奪われる」ではなかったのです、どうやら。

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  ただ、完全に平和裏にいったかというと、そこまでは言えないようです。実際、現在の「日本本土人(=大和人)」は縄文人弥生人の混血なのですが、縄文人の血がより強く残っている「沖縄人」は「日本本土人(大和人)」ほどには混血が進まなかったようですし、もっと縄文人の血が色濃く残っている「アイヌ人」はほとんど混血が進まなかったのです。つまり、日本に住む縄文人弥生人の少なくとも一部は、完全に分断したまま対立を続け、結果的により高度な文明を持つ(農耕民族である)「弥生人」(今となっては「日本本土人」となった混血の人たち)が「縄文人」の末裔たちを南と北に追いやり、日本列島を支配するようになったのです。

(南と北に追いやられた縄文人の末裔は、それぞれ「沖縄人」と「アイヌ人」になり、その後も「日本本土人(=大和人)」に追い立てられ、攻められ、絶滅に近いところまで追い詰められていくことになったわけです。もともと狩猟採取民族の彼らは、ところどころに「部落」をつくって密かに生活し、「えた・ひにん」と呼ばれ差別され、被征服民としてのみじめな生活を余儀なくされたのでしょう…。)

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  そんなこんなで、現代の日本に生きる私たちは、遺伝子的には中国・朝鮮半島人の末裔である「弥生人」の遺伝子が大部分、そこに少し「縄文人」の遺伝子が混血して、生まれてきた…、ということになるわけなのでしょう。

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  縄文人は「ナギサ人」の末裔、弥生人は「ナイリク人」の末裔、と考えると、日本は非常に珍しく(たぶん島国だったからでしょうが)、その両方の遺伝子が残されている場所なのでしょう。(チベットアンダマン諸島の人もそうですが。)

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参考書

Shi H, et al.  Y chromosome evidence of earliest modern human settlement in East Asia and multiple origins of Tibetan and Japanese populations.  BMC Biology 2008, 6:45 doi:10.1186/1741-7007-6-45.

 

Hammer M & Horai S. Y Chromosomal DNA Variation and the Peopling of Japan.  Am. J. Hum. Genet. 56:951-962, 1995.